Greeting センター長挨拶
センター長挨拶
これから急速に進む超高齢・人口減少社会とそれに応じた医療介護提供体制の変革を受けて、ケア提供場面は病院に留まらず自宅や介護施設などの地域社会にも広がり、地域のなかでも都市部や地方、人口密集地域や過疎地域など多岐にわたっております。多様なケア提供場面において中核を担う看護領域は、様々なニーズに対応すべくより一層の発展が求められております。
日本の看護学領域において新卒者に占める大学卒業者割合は年々増加しており、学問としての発展が期待される一方で、看護学領域の国際誌に掲載された研究論文は他国と比較して少なく、国際的に通用するアカデミックな活動には課題もあると言えます。加えて、看護関連の政策的な研究や産官学連携による研究、知的財産として登録に至る研究も必ずしも多くありません。看護領域が更なる発展を目指すにあたっては、ケア実践としての看護と学問としての看護、双方の進化が必要だと考えます。
未来創成ナーシングリサーチセンター(Nursing Innovation Research Center:NIReC)では、【臨床研究循環部門】・【学際融合研究部門】という2つの部門を創設し看護科学の未来を創る活動に取り組んでいきたいと考えております。【臨床研究循環部門】では、本学病院看護部との共同研究協力体制を構築し、看護実践と研究の循環を活性化させるなかで実践としての看護の専門性を高めること、または現場に広がる疑問や葛藤を研究に昇華させていくことを目指します。更に、現場で活躍する看護師の方々との共同研究プロセスを通して、学問としての看護を追求するという選択を提示しアカデミックへの関心を高めていただくこと、またそのための学習機会の創出にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
【学際融合研究部門】では、2024年10月に統合して一つの大学となる東京工業大学や包括連携協定を結んでおります東京藝術大学の教員・学生との共同研究をはじめ、医療機器開発・建築系・介護系・IT系など様々な領域の企業との産学連携など、看護の学問領域に留まらない多様な分野・領域との融合、コンバージェンスによる看護学の発展を目指しています。将来的には、これら2つの部門の垣根も超えたより柔軟で平等、そして自由な発想に基づいた学問の探求を実現し、看護科学の未来を創り続ける組織となるよう研鑽を重ねて参ります。
我々の理念や活動について、一人でも多くの方に知っていただき、応援していただける組織となるよう精進してまいります。皆様のお力添えのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
センター長 福井 小紀子